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識者も語り始めた日本の危うさ

少し前まではなんちゃって本や偏った意見の多かった日本の財政破たんや海外への資産逃避ですが、
最近では素性も経歴もしっかりしている識者が日本の危うさについて真剣に語るようになりました。

「あらたにす」という日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞の3紙合同のウェブサイトから。
下記の3名の識者の記事を抜粋してみました。

1.伊藤 元重氏: 財政問題の論点を改めて示すと
(東京大学大学院経済学研究科教授)

2.ロバート・アラン・フェルドマン氏: 財政赤字はどこから来たのか どうすべきか
 (モルガン・スタンレーMUFG証券 マネジング・ディレクター経済調査部長)

3.渋澤 健氏: 資産の「安心安全」に警鐘が鳴っている
 (コモンズ投信会長)

1.日本の財政問題、多額の債務について


政府が抱えている巨額の債務(発行済みに国公債)の存在

日本の国債は日本の国民がその大半を保有しているから大丈夫だという議論がある。
近年財政破綻したギリシャは公的債務の7割前後を海外に対して負っていた。
これに対して、日本は政府債務の95%近くが国内向けである。

債務の対内比率の高いことが二つの意味で国債に安定感

①日本の国民の資産保有において国内バイアスが非常に高い
→外貨建て資産を避けて円建て資産、預貯金のような安全資産で持とうとする傾向が大きい
→国民の保有資産が国債残高を大きく超えている間は大丈夫である

②政府債務が自国民向けであるときには、政府も安易に財政破綻しないだろう
ギリシャの場合:
 債務の多くを外国に負っている場合、
 →債務不履行の方が政府にとっては安易な道
 →国民に増税や年金支給カットなどの痛みのある改革を押しつけることは政治的に難しい
 →ギリシャ国債の場合、市場も政府の対外債務がある水準以上になると警戒を始め、それで国債消化が難しくなる。

Greece bond yield Japan Bond Yield

【ギリシャ国債10年物利回り推移】 【日本国債利回り推移】


しかし、日本のように国債の大半を自国民が持っている場合、
政府の債務不履行は国民に大きな損失をもたらすことになる。
政治的に難しいので、政府は何とか債務不履行を避けようとするだろう。
そうした読みが市場にも安心感を与えている。

日本の政府債務比率がこれだけ高くなっていても、
日本の国債利回りは歴史的な低さで推移している。
政府の国債を(日本の)金融機関は低金利でどんどん購入しているのだ。

国債や公債の発行残高:    約900兆円
家計の金融資産の保有残高: 約1400兆円

約1400兆円と言われている家計部門の金融資産の多くは、遺産として次の世代に残される。
家計部門の金融資産の多くは高齢者が保有→一部は死ぬまでに消費され、大半は遺産として次の世代に残る。

約900兆円の巨額公的債務は、将来どこかの時点で税によって償還する必要が出てくる。
いずれは相当規模の増税でその償還資金を捻出する必要があり、将来世代にとって負担となる。

将来世代の負担はどれだけの金融資産が残され、どれだけの公的債務が残されるかで決まる。
大量の公的債務が残されることは、将来の経済運営に大きな支障を来す可能性はある。

Japan Deflation
【日本のデフレ推移】


公的債務の返済をするためには増税をするか、政府支出を減らさなければならない。
しかし、厳しい増税は経済に大きな負担をもたらすだろうし、政治的にそれが実現可能であるとはかぎらない。
年金や医療費を削減するような歳出カットも同じような問題が起きる。

巨額の公的債務の存在は将来の財政運営に大きな困難をもたらし、それが結果的に厳しいインフレを招くような事態も、その可能性については否定できない。

巨額の債務の存在が日本にとって大きな問題であることは事実
問題の本質がどこにあるのかはきちっと把握する必要がある。
どのような点で負担になるのか明らかにする必要がある。



2.日本の財政赤字について

復興費用で苦しむ日本は既に多額の財政赤字に直面している。
日本の財政をビジネス・ラインに分けて診断してみる。

【2009年度】

営業活動: 公共財(防衛、義務教育、警察、司法)
社会活動: (医療保険、年金等)など
利払い勘定: 公債利払い

①営業収支: -2兆円

「営業歳出」:-75.9兆円
公的資本形成、非市場財・サービスの移転、現実最終消費、賃貸料の和とする。
       
「営業歳入」:73.9兆円
生産・輸入品に課される税(補助金は除く)、所得・富等に課される経常税、利子を除く財産所得、政府内移転以外の「その他の経常移転」とする。
      
②社会収支: -56.6兆円

社会活動歳入:55.5兆円 
社会歳出:  -112.0兆円
「現実社会負担」、「現物社会移転以外の社会給付」、政府内を除く「その他の経常移転」
   
③利払い勘定収支: -5.2兆円

受け取り 6.8兆円
支払 -12.0兆
       
経常収支合計: -63.9兆円

Social cost comparison
【厚生労働省:社会保障の給付と負担の現状と国際比較】

赤字の原因は社会活動:
1980年度から97年度までは、社会活動の赤字はGDPの5%以内であったが、その後は拡大一方。
その結果、経常赤字の趨勢的な悪化は、社会活動赤字の趨勢的な赤字悪化がもたらしたものと考える。

社会歳出増は高齢化だけではない:
社会赤字は歳入が1980年以来、対GDP比で約6割(7.2%から11.7%まで)増加している。問題が歳出である。
1980年度から91年度までは、高齢人口の割合が9.1%から12.6%まで上がった。社会歳出は対GDP比で約12%前後の水準で推移した。その後、1990年度から02年度まで、高齢者比率と社会歳出比率はほぼ1対1で上昇した。
02年度から06年度の間は、社会歳出の上昇はまた鈍くなったが、07年度以後はまた急増が始まった。
この数字を見る限り、「社会歳出増は高齢化によるものだ」とはいえない。

社会赤字をGDPの5%以内に:

個人の意見に過ぎないが、社会赤字をGDPの5%以内にしないと、教育、研究開発など、将来の生活につながる歳出が痛むと思われる。そこで、必要な歳出削減幅が逆算できる。不況の影響を除くため、2007年度をベースにすると、同年度の社会赤字は対GDP比で8.6%となる。目標の5%以内に抑制するには、GDP対比で3.6%ポイントの削減が必要となる。社会歳出総額は対GDP比で19.6%であったが、これを3.6%ポイント削減することになる。すなわち、約18%の歳出削減になる。

つまり、約2割の社会歳出削減を実現するには、技術革新による生産性向上および自己負担増から生まれる効率化の組み合わせが有効であろう。これが財政問題を直す際の宿題である。

3.最悪の事態の前に


巨額な政府の借金、2011年度末に積み重なると予測される日本の政府の借金、国債発行残高は地方の債務と合わせると、同年度末には891兆円を達する見込みになる。これに、借入金、政府短期証券、政府保証債務、等と合わせると、1000兆円に達するという推測もある。

税収が利払いで消える懸念あり。
たとえば、2011年度の国債費の要求では、24.1兆円の内、10.7兆円が利払い費である。

国債残高が増え続けても、長年の低金利時代による借り手のメリットが生じ、この利払い費は下げ続けていたが、その「特別配当」は数年前に使い切り、残高の積み重ねが続いているので、近年の利払い費は毎年増加している。
10年金利が1.2%~1.3%という超低金利でもこの状態であるから、もし金利が3%~5%という正常なレベルに戻ったら、年間の利払い費は年間の税収入の40兆円に匹敵する。収入の全てが、借金の金利として消えてしまうという家計ではありえないほど恐ろしい状態だ。

また、国債費の他には基本的に国債の償還費がある。借金を返すための年間の準備金である。
2011年度でも102.6兆円の新規国債が発行される予測になっているので、償還費用が筆者および読者の生涯で改善されるというシナリオは、現在の延長線では考えにくい。

ただ、過去を振り返ってみると、日本政府はそれまでの延長線に留まらず、大きく舵を切った「審判の日」の前例があるという事実が浮かび上がってくる。

明治維新     :旧幕府の借金の6割ぐらいを切り捨てたといわれる。
終戦後の1946年:新円切換の預金封鎖や財産税(25%~90%)など金融緊急措置令を実施し、政府の債務処理を図った。

meiji-3.jpg 100-Yen 1946

この「審判の日」という前例について国民の意識を高め、これからの日本にどのような将来が暗示されているのかを考える題材を提供することに大いに期待している。これから「審判の日」が訪れた場合は、

①国債を大量に持つ銀行の時価評価を凍結する
②日本銀行が長期国債を大量に購入する

①見えるべきもの(時価)を見えなくする(簿価)ことは、強いていえば時間稼ぎの効果はあるかもしれないが、抜本的な解決にはならない。

②日銀が国債を買うということはおカネを増やすことである。これは多くの国内外のエコノミストの主張であり、デフレの悪影響を打破するためには、その逆のインフレが必要であるということは理に適っているように見える。ただ、経済活動外でおカネの量を増やすということは、おカネの価値を意図的に減らしているということを国民がどれほど理解しているのであろうか。ハイパー・インフレとなれば、国民の800兆円の現金の価値を強制的に著しく下げるという政策である。

つまり、「安心安全」と思っていた資産の価値の「元本割れ」だ。私たち日本人は、安心安全への警鐘が鳴っている事実を見逃してはならない。

GDP比の約160%を現金として保有する国民は世界では異端的な存在である。
極度に安心安全を求める日本人の金融資産は預貯金という部屋の中に「引きこもり」状態になっている。
いままでは、現金として個人資産を保有することは最も合理的な判断であった。
デフレや円高によって、相対的に価値が上がったからだ。
しかし、これからもこの価値が保持されるという期待が外れる可能性を見えないふりをしてはならない。
日常生活に使うお金に余裕がある日本国民は、それを預貯金以外の資産にもリスク分散することが賢明である。

もちろん、パニックを煽ることが趣旨ではない。経常黒字や家計の金融資産を「担保」にしている政府の借金は、現時点では調達の問題は生じていない。

ただ、これは現在のスナップショットであり、将来の現実ではない。「審判の日」が、いつ到来するかわからない。ただ、その「審判の日」が昨日より一日近づいたことは確かなのだ。

4.感想

海外移住や海外進出を真剣に考える時代。でも皆がそうすると日本政府の考えているシナリオが維持できない。
そのくせ銀行や政府は海外への投資はすすめている。一方日本在住者は国内にとどまれということか。
もし自分が日本の政府を動かしている立場になるとやはり日本国民の資産は国内で還流する方向しかないと思ってしまう。

Nagasaki-sakoku.jpg

テーマ : 海外投資
ジャンル : 株式・投資・マネー

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